受験するきっかけ
これまでにベンダー資格は取得してきましたが、更新を続けていたのはCCNP(Cisco)だけでした。しかし、試験内容が大きく変わったこともあり、更新できずにベンダー資格はすべて失効しました。
昨今、ベンダー試験は受験費用が上昇し、数年ごとの更新が必要です。
一方で、IPAの情報処理技術者試験は国家試験であり、失効がなく、受験費用が比較的安価(2026年時点で7,500円)という特徴があります。
現状、ICT技術者にとってネットワークと情報セキュリティは切り離せません。最低限必須の知識だと考えていたことから、高度区分であるNW(ネットワークスペシャリスト)とSC(情報処理安全確保支援士 )を候補としました。
主な動機
NWについては、CCNPを失効した背景もあり、同等レベルの試験に再び挑むことで『いくつになっても挑戦者でありたい(試験当時40代後半)』という自分の信念を体現したかったのが大きな動機です。
SCについては自社のCISO(最高情報セキュリティ責任者)という立場から、基礎的な情報セキュリティ知識を改めて確認したいという思いがありました。
また、『国語の問題』とも称されるSC試験の長文問題を通じ、制限時間という制約の中で高度な情報処理能力(読解力および言語化力)を発揮できるか試したいという動機もありました。
SCへの挑戦
2019年にIPAのSG(情報セキュリティマネジメント)に合格していたこともあり、同じセキュリティ関連でシラバスの範囲が重なるところが多く、年2回受験が可能なSCからスタートしました。
使用教材は主に公開されているIPAの過去問題です。午後問題をメインに、午前問題からも気になるものをピックアップしてスキマ時間にも解いていました。
学習時間は最初は夜(22時~2時)が中心でしたが、記憶の定着には睡眠が重要であること、仕事や家事で疲れたあとに学習を始めるのがつらくなって来たことから、途中で早起きして出社前に1~2時間取り 組むスタイルに変更しました。
挑戦の時期がちょうどコロナ禍と重なりましたが、さまざまな制約がある中でかえって自分自身と向き合い、集中する好機と捉えて取り組むことができました。
結果は3回目で合格(令和3年6月25日)でした。
振り返り
受験当時の午後Ⅰ試験は90分で2問解答する形式でした。2回目までは解答を書ききるまでに十分な時間が取れず、3回目でやっと見直す時間が少し取れました。
ある程度時間をかけて読まないと違和感や問題となるポイントが問題文や頭の中に浮かび上がってこないので、当時の私にはギリギリの難易度だったように思います。
受験当時の午後Ⅱは120分で1問解答だったので、見直し含めて時間が不足するという事はなかったので午後Ⅰさえ突破できればなんとかなると考えていました。
実際2回目までは午後Ⅰの合格ラインが突破できておらず、午後Ⅱが採点されない状況だったので果たして採点されていれば突破できたていたかはわかりませんが、結果として『午後Ⅰ突破・午後Ⅱ不合格』 というパターンにはならずに済みました。
学習のポイントは午後Ⅰの長文読解に時間を割き、制限時間内に言語化して解答することを繰り返し実践したことです。
現在は午後Ⅰ試験と午後Ⅱ試験が統合され、150分で2問という形式に変更されています。時間が不足することはなさそうですが、150分集中するのはなかなか大変そうです。

上記は合格後に使用教材を処分する際に撮影したものです。
プリントアウトしたものが公開されているIPAの過去問題になりますが、3回目の試験までにだいぶ増えました。
学習時間が十分取れない時期もありましたが、どんな時でもとにかく『毎日1問は解く』ということを習慣化しました。毎日取り組んだ自分を信頼できるので精神面でも少し有利になったと思います。
なお、SC試験の会場を選ぶことはできませんが、たまたま自宅近くのよく知っている場所が選ばれました。少しラッキーでした。

NWへの挑戦
基礎部分はSCとかぶる箇所も多かったので、より技術的な部分を重点的に取り組みました。

使用教材は、王道のネスペシリーズの過去問を4期分ほど。
問題に出てくる課題を反射的に技術的な内容として説明ができるようになるまで繰り返し行いました。
午前はSCの時と共通になりますが、持ち運び用にポケットスタディ、Web公開の過去問道場など活用しました。
結果は2回目で合格(令和5年6月29日)でした。
振り返り
SC試験合格により2年間の午前Ⅰ免除となっていたのですが、ちょうど期限が切れる前に免除の恩恵を活かすことができました。
午前Ⅰ免除獲得のためだけに受験される方もいるそうですが、免除があると当日朝余裕ができるのと、集中力も維持しやすいのであると有利です。
今後CBT化により午前と午後が別日程で受けられるようになることに加え、免除もあればさらに負担は減るので受験はしやすくなるでしょう。
SC試験は地の利がありましたが、2回目のNW試験会場は東京大学でした。
訪れたことがない会場でしたが、『東大で受験する』という体験自体が新鮮で『東大で合格できたら面白いな』とテンションが上がりました。

午後Ⅰは3問中2問の選択があります。
選択した問題を確認していくうちにすでに10分ほど費やしていましたが、別の問題のほうが良さそうだと感じ、途中で選択しなおしました。
過去の試験含めて途中で選択を変えた経験はありませんでしたが、NWはSCと比べると問題を読むのには時間はかからないという事もあり、自分の判断を信じました。
午後Ⅱを終えて、『合格は難しい』程度の手ごたえしかありませんでしたが、『やり切った』という達成感だけはありました。
試験後はいつもは反省会としてカフェで自分のメモや回答を清書し、わからなかった点を洗い出す時間を取っていますが、この時は気力も体力も残っておらず、反省会ができないほど消耗が激しかったのを今でも覚えています。
結果は合格でしたが、自己採点では合格圏外だったため、IPAに個人情報の開示請求を行い答案用紙のコピーを取得しました。

個別の配点まではわかりませんが、不正解と思っていた選択問題が実際は正解を選択していた事がわかりました。自己採点以上に点数が取れていたという事から、それ以外にも記述箇所で加点されていたものと思います。
参考:個人情報に関する開示請求
https://www.ipa.go.jp/privacy/seikyu.html
試験当日の持ち物
やるべきことをやったらあとは能力を最大限発揮するだけです。気持ちよく受験できる状態に持っていけるものならなんでも良いと思います。
私の場合は特別に神仏を強く信仰しているわけではありませんが、ひとつのラッキーアイテムとしてお守りを持っていきます。

また、将棋のタイトル戦でもおやつが出るくらいですが、脳の栄養として手軽に糖分補給できるおやつを準備します。
大人なのでいくらまでとかはありませんが、私の場合はジップロックにあめちゃん、チョコレート、ぶどう糖、軽食用のベースブレッドを入れて持参しています。準備中から遠足気分でワクワクします。
挑戦を終えて

SC、NWの両方を合格した感想です。
SCは手ごたえはありましたが想定していたより点数が取れず、合格難易度的にはSCのほうが難しく感じました。IPAの試験の総評を見ると合格ライン付近に人数が集中しているため、1点の差はかなり大きいです。
試験中は自分との対話しかできません。その時自分が持てる能力を発揮するしかないので、いかに自分を信じて1問でも1点でも多く得られるように冷静にやりきる事が大切だと思います。
令和8年より受験方式がCBTになります。方式が変わっても結局はみなさん同じ条件で競争することになります。CBT方式ならではのやりやすさ・やりにくさがあるので適応できるように準備する必要がありま す。
個人的に気になるのはメモ(ホワイトボード、マーカー)の利用です。
私は紙に記入することで思考を整理していましたが、細かい文字が書けなくなりそうなので、今後さらに高度レベルへ挑戦するのであれば、できるだけ頭の中で思考整理できるように準備が必要と考えています。
『わかったというのはそこで考えるのをやめたということ』
最近耳にした芥川賞作家・田中慎弥さんの言葉です。わかった(理解した)と納得した瞬間、脳はそれ以上の探求や疑問を持つことをやめてしまうため、思考停止につながるということかと思います。
受験が合格や資格取得だけを目的としてしまうと、目的を達成した時点で学習も成長も止まってしまいます。
また、たいしてわかってもいないのに『わかった(ふり)』をしてしまうと、それ以上学ぶ機会を失います。
学習そのものは、学習サイクルを回し続ける事が大切であると考えています。
変わりゆく価値観や倫理観によって軌道修正したり、学びなおしたり(ReSkilling)する必要もでてきます。
というわけで生涯挑戦者の気概を心に抱いて前に進んでいきたいと思います。
やる理由 or やらない理由
成長はコンフォートゾーン(安心の領域)の外にあります。
『創造的回避(クリエイティブ・アボイダンス)』という言葉がありますが、回避する理由(やらない理由)を作るのにクリエイティブになってしまうということを表しています。
やる理由よりもやらない理由をいくらでも創造できてしまいます。
安心の領域を抜け出すためには、やる理由が1つでもあれば十分です。何か1つでも進むための理由を探してみることをおすすめします。

最後に
ここまで読んでくださりありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。
企業理念である『成長』を、私自身が実践できた挑戦でした。技術は日々進化します。どんなに経験を積んでも学び続ける必要があることを、改めて痛感しました。
受験や資格取得はゴールではなく、学び続けるための通過点です。年齢や立場に関係なく、少しでも『やる理由』を見つけて、コンフォートゾーンの外に踏み出してみてください。
その一歩が、確実に成長につながると信じています。
生涯挑戦者の気概を持ち続けながら、これからも前に進んでいきたいと思います。
株式会社ネットフォース



